ep14 再開マルー ファティマ城脱出
一方地下水道から城内に入ったバルトは、天守閣にてマルーとの再会を果たしていた。
マルーのお気に入りのぬいぐるみと共に部屋を出たバルトは、そこでラムサスとミァンに見つかってしまう。バルトの前にラムサスが立ちはだかった。
「やはりネズミが紛れ込んでいたか。小僧、その娘をどこに連れていくつもりだ。」
「小僧とは何だっ!小僧とはっ!もういっぺん言ってみやがれっ!誰なんだ、てめぇは!」
「その威勢の良さだけは買えるが、貴様ごときネズミに名乗る名を私は持ち合わせていない。
さあ、マルー殿をこちらに渡してもらおうか。その方は我らにとって大切な客人でな、『ファティマの碧玉』の半片の所在を聞き出すまではむやみに連れ出されては困るのだよ。」
「ふんっ!月並みだがな、渡せと言われてハイそうですかと渡すと思ってんのか?ざけんじゃねぇぞっ!え?おっさん!」
「ふっ、ならばその月並みのたんかを切った愚か者の末路も知っているだろうな。」
戦いを挑んだバルトだったが、さすがに2対1だと状況は不利になるばかりだった。焦りが見え始めたその時
「大丈夫か、バルト!」
大武会を終えたフェイが現れた。フェイはラムサスに必殺の武技雷迅を叩き込み、そのままバルトに加勢した。
「フェイ、助かったぜ!」
「何やってたんだよ、バルト。とっくに脱出したものとばかり思ってたのに。」
「うるせぇ!こいつらに邪魔されて身動きとれなかったんだよ!」
フェイの助力で戦況は一気に優勢になった。しかし、ラムサスの集中力は乱れつつあった。
「(フェイだと…!?それに今の技は…あの時の…)」
武技雷迅を受けたラムサスは、エルルの悪夢(注1)を思い出していた。
赤い長髪の男が素手でソラリスのギアを次々と撃破する。その男が武技雷迅を使っていたのだ。
さらにラムサスは、"フェイ"と言う名前にも聞き覚えがあった。
『フェイ……それが私の子の名前……』
ラムサスが記憶に残る誰かの言葉を思い出し怯んだ一瞬の隙をつき、フェイたちはその場を離脱した。
「やはり奴なのか……奴であるならば……俺は……塵<ごみ>……」
兵士に追跡を命じ、ラムサスはそう考えていた。
注1:数年前にソラリスが行ったエルルという国の大粛清。その最中、グラーフと赤い長髪の男の突然の乱入により、ソラリス軍は壊滅。ラムサスは指揮官として参戦していた。