ep4 旅立ち 樹海にのがれて…
フェイが目覚めると、あたりは一面焼け野原になっていた。あちらこちらに焼け出された村人が力なく座り込んでいる。
フェイは何が起こったのか理解できず、そばにいたシタンに事情を聞こうとした。その時、ダンがフェイを激しく罵り始めた。
「フェイ兄ちゃ…おまえ…おまえがその化け物でみんなを殺したんだ…!!」
彼の指差す先には、フェイが操縦したギアが静かに佇立していた。
「なんで、村のなかで戦ったりしたんだ…」
「あんな怪物みたいなもの、どうして動かせるの……?」
「母さんは……?母さんは、どこ……?」
「だから、言ったじゃないか…素性のわからない者を村に入れるのは反対だと…」
村人の恐れる声がフェイの耳に届く。
シタンは激昂するダンを、ギアのシステム暴走では…となだめようとしたが、彼はその手を振り払って走り去ってしまう。呆然とするフェイ。
そこにシタンは昨夜の連中の後続部隊が何が起こったか知るためにもう1度ここを来るかもしれない事、フェイがここに残る事で双方にとってあまり愉快とは言えない事態が引き起こされる事を説明し、ここを離れたほうがいいと勧めた。
フェイはシタンの言葉に頷き、彼に黒月の森を抜けアヴェ領に入れば奴らも迂闊に追って来られないだろうと教えられ、アヴェへ向かうことにした。
俯いて歩くフェイの耳にダンの罵声が蘇る。
「(人殺しッ!!姉ちゃんを…アルル姉ちゃんを返せッ!!)」
それを振り払うように、彼は草原に向かって走り出した。