ep36 天空のシェバト 風の声を聴け
シェバトのドック。ギアから降りたフェイたちは少女に案内される事になった。
少女はマリア・バルタザールと言った。アヴェの地下鍾乳洞のバルタザール爺さんは、彼女の祖父だという。
マリアに案内される一行は途中彼女のギア、カラミティの後継機だと言うゼプツェンの格納庫に寄った。
ゼプツェンを見上げながら、マリアは父の事を語りだした。
「このゼプツェンは父さんが開発したものです。父は私を盾に取られて、無理やり研究をさせられていたんです。でも私には悲しい顔は決して見せなかった。ゼプツェンが守ってくれるよって。五年前のあの日、父さんは私を庇って一人取り残されて…。父さんの笑顔を取り戻さなきゃ……。
……父さんはいつかきっと助け出してみせる!」
その後フェイたちは彼女の案内で王宮へ向かった。女王の間の前には何故かワイズマンが待っていた。
彼に促され、フェイたちは女王ゼファーに謁見した。
女王は一見すると少女のように見えるが、ある男に特殊な延命処置を施され現年齢は522歳。世界が終わる日まで強制的に生きながらえさせられているのだと言う。これは償いなのです、女王はそういった。
さらに彼女はワイズマンにある男を監視させ、その傍ら地上でシェバトの助けになってくれる者を探して貰っていた事。500年前地上人の解放をかけてソラリスと戦い抵抗を続けていた事を話し、フェイたちに協力を頼んだ。
彼女はフェイたちに考える時間を与え、宮殿で休ませる事にした。
「ことにエリィ。貴方は自分の家族や仲間と戦う事になるかも知れません。相当の覚悟が必要ですよ」
「……はい、承知してます」
仲間達と別れ王宮内を見て回っていたフェイは、シタンの妻ユイと娘ミドリに会った。もともと彼女はシェバトの生まれであり、ラハン村壊滅の後生き残った村人達は彼女の案内でシェバトに移ったのだという。
彼女と別れさらに王宮内を回っていたフェイは、バルコニーでたそがれるマリアを見つけた。
「戦う理由は自分で見つけ、自分のものにしなければいけない。お爺ちゃんはそう言ってました。このシェバトに来て三年。お爺ちゃんも女王様も、ひとりでソラリスに行ってはダメだって。でもゼプツェンなら、どんな相手にも負けないのに。こうしている間にも父さんは……」