ep48 撃墜!! 大樹海に消えて
フェイは夢を見ていた。何人もの"接触者"の生涯。エリィも夢を見ていた。何人もの"エリィ"の生涯。
二人はその夢を見たことで、それぞれが何をすべきかを掴みかけた。
森の中にひっそりと佇む住居。そこはバルタザール、ガスパールと並びシェバト三賢者と称される老人、トーラ・メルキオールの研究所だった。その研究所のナノリアクター内でフェイとエリィは目覚めた。
三週間前、血まみれで倒れていたフェイとエリィを発見したトーラは二人を連れ帰り、ナノマシンで治療したのだと言う。旧知の間柄であるシタンから二人の事を聞いていた彼は、フェイたちが眠っていた間にナノ技術を用いてイドの発現を抑制する腕輪を開発。バル爺の協力も得て、ヴェルトールにも同様の装置を取り付け、イドの力だけを任意に解放できる「システム・イド」を完成させた。
目覚めた二人はトーラから人々に刻まれたリミッターを解除する為のナノマシンを渡された。それを広域に散布するため、彼らは古代の砲台に向かう事にした。
彼らが出発しようとすると、シェバトの使者が現れてフェイに助力を求めた。アヴェ・キスレブの和平調印式が行われているシェバトに、ソラリスの機動要塞が接近していたのだ。
掌を返したシェバトの態度にトーラは怒りを露にしたが、フェイは人々を守るためにシェバトへ行く事に。
フェイたちが外へ出るとシタンとエメラダがおり、事情を聞いた二人はエリィと共に砲台に向かう事になった。
フェイの出発を見送った後、シタンはエリィに尋ねた。
「いいんですか? フェイの為に戦場から離れ、静かに暮らそうとしてたのに」
「私、現実から逃げてるって気づいたんです。最初は、フェイなら私の気持ちほ理解してくれるかもって思ってた。本当に好きだったかどうか……。両親を亡くして自棄になってたのかもしれない……。だから、一度離れて自分の気持ちを確かめたいんです……」
フェイたちが出発した後、トーラの下にグラーフが現れた。
「やはり……あの二人をここまで運んだのはお前か。すぐに気づいたよ。あの頃のお前と彼女に瓜二つなのだからな……ラカン」
ガゼルの法院はフェイが生きていることを知り動揺していた。カレルレンは提案する。
「ヤツには再びラムサスを差し向ける。依存はあるまい」
「娘はどうする。鍵が鳴動を始めておる。神の復活が近づきつつあるのだ」
「娘の回収はいつでもできる。今でなくともな……」