ep49 反撃開始!! 刻印を打ち破れ
シェバトに向かうフェイの前に、ギア・バーラーに乗ったラムサスが立ちふさがった。フェイはシステム・イドを発動、これを撃破した。「お前さえいなければ」そういい残し、ラムサスは樹海に消えていった。
エリィたちはソラリス守護天使時代に搭乗していたギア・パーラー、E・フェンリルを駆るシタンの活躍もあり、無地に砲台に到達した。
射出され、大気中に散布されたナノマシンは増殖しながら世界中に広まっていった。
シェバトに着いたフェイはバルトたちと合流。機動要塞撃破の為の最終兵器を手にするためキスレブへ。
キスレブ総統府の真の姿。それは500年前にロニ・ファティマが建造した秘戦艦だった。過去の記録からその事を突き止めた彼らは数百年ぶりに総統府を起動。ユグドラシルを制御中枢として急襲形態へと変形し通常のギアの数十倍はあろうかと言う巨大ギアとなった総統府は、機動要塞をあっさりと撃破したのだった。
和平は成され、地上に平和が訪れた。沸き返る人々を祝福するかのように、エリィたちによって散布されたナノマシンが、光りながら彼らの上に降り注いだ。
異変は突然始まった。人々がウェルス化し始めたのだ。それは刻印<リミッター>が外され、本来の能力が開花したヒトの姿だった。「"普通"の人間がどうなるか」フェイはソラリスでのハマーの言葉を思い返していた。
エテメンアンキの崩壊から逃れたガゼル達はヒトの変化に何かを感じ取ったようだった。
「神の復活が近づいた為の自然発芽か。神の下僕となる者……鍵を使わずともこれほどいたとは」
「発芽しない者は神の肉体に定められし者か、あるいは神に仇なす者か……」
「要所のソイレントを再起動しよう。中途半端な変異。このままでは使い物にならん」
「あなたによって抑えられていた『鎖』が外れたようね」
ミァンがカレルレンに語りかけた。
「問題ない。先の帝都壊滅の際、大気に拡散するようにナノマシンウィルスを仕掛けておいた。現在のヒトの異形化はその初期段階だ。ウィルスは、発芽した原体をコントロールできるものへと変化させている。鍵に頼らずに目覚める者は、神本来の肉体を乗っ取る為に必要なのだ」
「神との同化の際に放たれるトロイの木馬……でも、あの子たちの思惑とは違うわね」
「当然だ。『神の方舟』は私のものだ。」
「私にとってはどちらでもいい事……。確実な方につくだけだから」
世界の至る所に存在するソイレントシステム。それは、ウェルス化した人々を分解、再構築し、生物兵器を作る装置だった。それが"M計画"の真相。ウェルス化した人々はそこに集まっていた。耐え難い苦しみを和らげ、短い命を長らえるため健常者の血肉を求める彼らは、ソイレントが苦痛から開放してくれると信じていたのだ。フェイたちは各地のソイレントを破壊する為、そこへ赴いた。
そこに集っていた人々に自らの血を与え、エリィは語った。
「癒しのために私の血肉が必要ならばいくらでもあげます。だから、人としての尊厳だけは捨てないで!」
やがて、ソイレントの人々はニサンに収容され、トーラのナノマシンによる治療を受ける事となった。
各地から集まり心の救いを得た人々は、献身的に介護するエリィを『聖母ソフィア』の再来と呼ぶようになった。
その状況を知ったガゼルは、人々の決起を恐れ、『ゲーティアの小鍵』を発動させようとした。しかし、天帝カインはガゼルが抗えぬ力でそれを押し止めた。もはやヒトに主はいらぬ。カインはそう言った。