ep50 星よ知る、我らが魂の器

地上の混乱が沈静化した頃、フェイたちはガゼルに対抗しえる力、ギア・バーラーを手に入れる為、その素体となるアニマの器を探していた。

ゼファー達からの情報を元に探索を続けた彼らは、太古文明の遺跡でついにそれを発見した。

そのアニマの器はビリーと同調。レンマーツォと同化してE・レンマーツォが誕生した。

目的を達し帰還しようとした彼らをエレメンツの四人が待ち受けていた。彼女らは自らの専用ギアを超獣合体させた巨大ギア、Gエレメンツで襲い掛かったが、フェイたちはこれを撃破した。

もう戦う理由はない。去っていくエレメンツに、エリィはそう声をかけた。


ガゼルの法院は、カイン暗殺の策を練っていた。それにはカインと同じ力を持つラムサスが必要だった。

ミァンはもはや前後不覚の狂人となったラムサスをさらに追い込むべく、彼をニサンへ向かわせた。

ラムサスはドミニアたちが止めるのも聞かず、ギア・パーラーで出撃した。


その頃、最後の『アニマの器』を探すフェイたちと離れ、エリィはニサンへと戻っていた。

そこへラムサスが襲撃。フェイを求めるラムサスの前にエリィは立った。

「何が貴方をそこまでさせるの……?」

「俺は天帝の能力を持つ者、即ち完全なヒトとして創られた。しかし、フェイが生まれた事で俺は廃棄され、塵溜めの中で生を受けた。俺は必死に今の地位まで這い上がった!だが、ヤツはまた俺の前に立ちふさがった!俺から全てを奪ったヤツが! ヤツがいる限り俺は……。貴様も俺から奪うのか!?俺がやっと手にしたぬくもりを奪うのか!」

「ラムサス、誰も貴方を攻撃しないわ。心を開いて。愛におびえないで……

彼女の言葉に困惑したラムサスは、おびえたように飛び去った。


「塵め

「なんの為のその存在か……

「出来損ない……

「失せろ……

「最早、貴様は用済み……

「否。用すらなさない塵だ……

何も出来ずに帰還したラムサスは、ガゼルから見放された。そんな彼にミァンが優しく語り掛けるも、ラムサスは納得がいかないようだった。

「ミァン!俺の、俺の力はこれだけなのか?この程度の力しか、俺にはないというのか?奴に勝てず、あの女の前でも何一つ出来なかった。俺はここまでの存在なのか!俺の能力は

取り乱すラムサスにカレルレンが語り掛けた。

……カインと同じだよ。全てのヒトを超越する原初の存在。そのように、この私がお前を創ったのだからな。

お前の力の解放を妨げているのが、あの男だ。分かたれた力。お前の原形となった男。原初からの時の超越者。それさえ消し去ればお前は……。」

「そう。優れた素質を持ちながら、オリジナルが存在するが故に、貴方は、うとまれる。分かたれた力を消し去れば、全ては貴方のもの。そうでしょ?カール……。」


『アニマの器』を探すフェイたちは、原初民の遺跡で最後の器を見つけた。リコと同調した器はシューティアと同化。E・シューティアが誕生した。

その帰り道で彼らを待ち受けていたのは、ギアと人機融合したハマーだった。

「お、俺っちも手に入れたですよ。兄貴達と同じ位、強い力を。き、気持ちいいっすよ、ギアと一つになれるってのは。これもカレルレン様のお陰っす。さあ、そのギアとエリィさんをお、置いていってもらうっす。抵抗しても無駄っすよ。今の俺っちは、とんでもなくつ、強いんすから

激しい攻撃を仕掛けるハマーに、フェイたちはやむを得ず応戦した。

戦力の差は、明らかだった。

「へへへ……。いやぁ……やっぱ兄貴は強いっす……。折角俺っちも強くなったってのに

キング……。キスレブにいつか戻って下さいね……。あなたは、総統の正統な血筋を受け継ぐ方……

リコは己のみにしまっていた事実を知るハマーに驚きを隠せなかった。

「俺っちの情報網を甘く見ちゃあいけませんぜ。でも、ダメっすね。俺っちは

……こういうのが端役の俺っちには……相応しい終わり方かも……しれないっす……

ハマーは満ち足りた笑顔を残し、自らを絶った。

『束の間得られた力』、ハマーはそれを得られて

幸せだったのだろうか?ハマーの笑顔、それは力を得られた喜びなのだろうか?それとも変異による苦痛から解放された安らぎからだろうか?仲間であったハマーの最後に、フェイ達は戦いの虚しさを感じた。

エリィはいつまでも泣いていた。何もしてやれなかった自分の力のなさを悔やんで泣いていた。フェイはそんなエリィを見て、これ以上彼女を戦わせることは出来ないと思うのだった。

一行はやりきれない気持ちのまま、イグニスに戻った。

next https://myyahele.hateblo.jp/entry/2020/09/01/094743