ep35 バベルタワー 天にとどく道
事態が一段落した後、フェイたちはジェシーが今まで何を目的に動いていたのかを聞く事になった。
ジェシーはソラリスにいた時、M<マラーク>計画について探りを入れていた。計画を進行させる為に地上人が実験台に使われウェルスになっていた事、計画の中心となるニコラと言う科学者が真相を試作ギアに移し、マリアと言う娘と共にソラリスを脱出した事。
この2つ突き止め、その後地上に降りてその行方を追っていたのだと言う。
現在その少女はシェバトにいるらしいのだが、連絡のつけ方すらわからないとジェシーは語った。
その時『教会』本部で助けられ、ユグドラシルで治療を受けていたシェバト工作員が現れた。彼女も虜囚となっていた為通信手段は無かったが、その昔シェバトがアクヴィの中心に立つバベルタワーの頂上にあった事から、そのバベルタワーに行けば何か連絡手段があるかもしれないと言った。
ほかに手段もないフェイ達はとりあえずバベルタワーに向かう事にした。
アクヴィ群島の中心にそびえるバベルタワー。高さが5kmにも及ぶこの塔は、いつ建造されたのかすら定かになっていない。通常は『教会』が調査をするため入り口を封鎖しているのだが、先だっての本部壊滅により警備がなくなっていた。
フェイ達はギアに乗りその塔へ入った。塔の内部は広大な吹き抜けになっており、壁から壁へつながる足場を渡りながら上を目指した。
しばらく上ると、壁に張り付くように止まっている輸送列車のような物があった。その列車はギアでそのまま乗れるほど巨大で現在もエネルギーが生きており、その列車に乗ってフェイたちは一気に塔を駆け上った。
やがて外壁に出ると、列車前方の線路に向けて砲撃があった。ラムサス艦からの攻撃だった。
列車を離脱し外壁に飛び出たバルコニーでラムサスを迎え撃ったフェイたちはこれを撃破。
ラムサス艦がラムサスの撤退を援護すべく砲撃を開始した時、遥か上空からラムサス艦へ向けて光の矢が降り注いだ。それがシェバトからの攻撃だと知りラムサス艦は回頭、急速離脱した。
思わぬ援護に戸惑いながらも一行は頂上へ向かう為、壁に巨大な鏡があるそのバルコニーを後にした。
再び塔内部に入ったフェイ達は、コントロールルームのような場所を見つけた。通信設備は生きているようだが、シェバトとの交信は出来なかった。その他に何かないかと調査をするも結局外壁の鏡を操作する事ぐらいしか解らず、彼らはその場を後にした。
さらに先に進んだ彼らは石材で作られた家屋が並ぶ居住区のような場所に出た。しかし、奇妙な事に、それらの家屋は塔の外壁を地面にして横に建てられていた。
その家屋を足場にさらに上っていくと、ついにバベルタワーの頂上に出た。しかし、そこには通信設備の様なものはなく、ただ空が広がっているだけだった。
辺りを見回していたフェイたちに突然声が掛かった。見ると、空からカラミティに似た大型ギアが降りてきた。
ギアの頭には少女が乗っており、少女はフェイたちに退去を命じて襲い掛かった。
フェイたちが少女のギアの攻撃力に翻弄されながら抗戦していると、空から別の声が聞こえ、少女は矛を収めた。
彼女はフェイたちを試していたのだ。
フェイたちは、彼女に案内されてシェバトに入った。
彼らがシェバトに入ったと言う情報は、すぐさまガゼルの法院の耳にも入った。
「ラムサスめ、シェバトとの接触を許すとは。あそこには"アニマの器"があるはずだ」
「我らの準備が整う前に同調されては厄介だ。我らの拠り代の型、合わなければ意味がない」
「シェバトごと葬るか? アニムスは他にもいる」
「シェバトのゲートはどうする?」
「なに、アハツェンの重力子砲で中和すればよい。再教育もすんだ。いけるよ」
「それは楽しみだ」