ep3 夜道で見た! 闇にふるもの
夜。シタンの家で夕食を取ったフェイは村に帰るため、シタン家を後にして暗い山道を戻り始めた。
彼が谷間にかかる橋を渡ろうとしたとき、突然谷底から数機のギアが現れ、飛び去った。
その飛行音に気づいたシタンが山道を駆けフェイに追いついた時、ラハン村の方角から爆発音が響いた。
二人がラハン村に着くと、そこでは数機のギアが戦闘をしており、ラハン村は火の海となっていた。
村人が逃げ惑う中、ティモシーとアルルからダンが行方不明になったと聞いたフェイとシタンは、
二人を避難させて探し始めた。
ダンを探して駆け回るフェイの前に、敵機の攻撃を受けたギアがうずくまった。
パイロットが転がり落ちてきたコックピットを見上げたフェイは、そこに年端も行かぬ少年の姿を見た。
ニタリと笑った少年にハッとしたフェイは魅入られたようにそのギアに乗り込み、操縦の難しい軍用ギアをまるで自分の手足のように操って戦い始めた。
「いけない、フェイ!ここで戦っては…!」
シタンはフェイを必死に止めようとしたが、フェイには聞こえていないのか止まる様子が無い。そしてその戦い振りは苛烈になる一方であった。それを見たシタンは
「あの戦い方は…。このまま彼が、目覚めてしまうようなことがあれば…」
と呟くのだった。
その時、アルルの家からダンが飛び出してきた。ダンはアルルの花嫁装束を取りに戻っていたのだった。
シタンがダンを連れて逃げようとすると、ティモシーが戻ってきた。
そのティモシーに、一機のギアが銃口を向けた。
止めようとするフェイだったが、突然現れた黒い翼のギアに邪魔され、ティモシーを助けられなかった。
弾丸に貫かれ倒れるティモシーを見てうめき声を上げるフェイ。彼の脳裏には、血を浴びた幼い頃の自分が浮かんでいた。
その自分があの少年と同じようにニタリと笑った時、フェイもその笑いを口元に浮かべていた。
次の瞬間、フェイの乗るギアが青い閃光を放った。巻き込まれたティモシーやアルル、村人たちは消滅。
ラハン村は、一瞬にして壊滅した。