ep2 谷をこえ、ひとり山道をゆけば/つかのまの平穏 山頂の家にて

あらゆる学問に精通した学者であるシタンは、数年ほど前から妻のユイ、娘のミドリと共にラハンの山の頂上に住んでいた。


シタンの家に着いたフェイだが、シタンは家に居なかった。ユイにシタンは裏でガラクタを弄っていると教えられたフェイは裏庭に向かった。


シタンは裏庭でアヴェ軍の残していった小型飛行輸送機、ランドクラブを弄っていた。

先に輸送機の修理をしてしまいたいと言うシタンを待つ間、フェイはシタンに物置きに面白い物があると勧められ、物置きを見に行く事にした。

物置きにはよくわからない箱のような物があった。あちこち弄っていたフェイは、台座に書かれていたメッセージを見つけた。


"わが娘のたんじょうを祝して・・・・

    世界中の夢と勇気と愛を

      きみに・・・・"


やがて装置が動き出し、美しい音楽が流れ始める。フェイはその音楽に不思議と既視感を覚えていた。そこへランドクラブの修理を終えたシタンがやってきた。

この装置は一種の音響装置(オルゴール)で、昔の遺跡から発見されたものだと言う。

説明を終えたシタンがフェイに訪れた理由を尋ねると、フェイはアルルに明日の結婚式に使うカメラを借りてきて欲しいと頼まれた事を伝えた。

シタンは快く了解し、良い時間だしついでに夕食を、とフェイを誘った。

まだ流れ続ける音楽を聴きながら理由も無く切ない気持ちになったフェイは困惑し、シタンにその気持ちを打ち明けた。

シタンはこの曲を好きだった昔の誰かがフェイの中で生きているからかも知れない、と意味深な事を口にした。


シタンは後片付けが残っていたので、フェイは先に物置きを出た。

残されたシタンが倉庫で一人思案にくれていたその時、オルゴールが突然砕け散った。

それを見たシタンは「始まるのか?」と呟くのだった。

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