ep18 とらわれの島 キスレブ帝都

キスレブ帝都ノアトゥン中央に位置する総統府。その総統室で、キスレブ総統ジークムントがアヴェ国境付近での戦闘に関する報告を聞いていた。報告によると、以前強奪されたヴェルトールを戦闘地域で発見。パイロットともども確保したと言う。

さらに訪問客があると聞いたジークムントはドックへと赴いた。ドックにはツボのような形の戦艦が入渠しており、その戦艦から厳重に梱包された荷物が降ろされていた。

戦艦から降りてきた覆面の女はジークムントにアレがあれば障壁を越えられると言い、それを渡す見返りとしてヴェルトールとフェイをD区画に移す事を頼み、戦艦と共に去っていった。


フェイは夢を見ていた。幼い自分が母親とキャッチボールをしている場面が、繰り返し繰り返し流れている。

それが大きなスクリーンに映し出されたものだと気が付いたとき、スクリーンの前に立つ彼の前に、画面を食い入るように見つめる幼い自分が現れた。困惑フェイに、もう一人の幼い自分が声をかけた。

「ここはお前のくる所じゃない……


帝都犯罪者収容区画、通称D区画。その囚人宿舎の医務室で、フェイは目覚めた。

そばにいた女医のディアナから事情を聞かされていたフェイの下に、四人の男達が現れて彼を連れ出した。

彼らはD区での序列を決めるための『洗礼の儀式』をするため、フェイをD区でキングと呼ばれている亜人のリコの下に連れて行った。

その儀式でリコ配下の四人、レオナルド、ハインリヒ、バルガス、スザーンと戦って勝ったフェイだったが、リコにはまったく歯が立たず負けてしまう。


再び医務室で目を覚ましたフェイはディアナから儀式の結果ランクAになった事、囚人の首につけられる首輪爆弾のせいで脱獄は不可能な事、困ったときは酒場にいる調達屋のハマーを訪ねるといい事を聞かされる。

ラハンを出て以来不可解な事が続いた上にいつの間にか監獄に入れられ、さらに絶望的な状況に置かれたフェイはもうどうにでもなれと捨て鉢な気になった。差し当たってやることも無いので、とりあえず酒場のハマーに会いに行く事に。


酒場で会った底抜けに明るい亜人のハマーに懐かれ困惑していると、バトリング管理委員会の人間がやってきてフェイにバトリング(1)への参加を要請した。

彼らは本来は自らギアを用意せねばならない所を特別に委員会が用意するなどと言いフェイを説得しようとするが、ギアを嫌っているフェイは頑として首を縦には振らなかった。

委員会が去り宿舎に戻ろうとするフェイに、今度はハマーがまとわり付く。うるさくバトリングへの出場を促す彼をいなしながら宿舎に戻ったフェイは、そこでシタンと再会した。

シタンはキスレブの無線を傍受していてヴェルトールが回収されたのを知り、追ってきたのだった。

彼からユグドラシルの沈没と国境艦隊の壊滅を知らされたフェイは、ラハンの時と同じようにまた自分がやってしまったのではないかと気に病んだ。

シタンに励まされ、マルーを守ると言うバルトとの約束を果たすべくキスレブ脱出を決意する。

差し当たって首輪爆弾を外そうと考えたフェイはシタンに分解を頼むが、危うく失敗しそうになり断念する。

そんな二人を見ていたハマーは、首輪爆弾を外すもう一つの方法を教えた。

それはジークムントが観戦するバトリングの御前試合で優勝する事。そうすれば特赦されると言うのだ。

しかし優勝するためには現在三連覇中のリコに勝たねばならないため、不可能に近いと言う。

それでもフェイは約束を果たすためにバトリングに参加することを決意するのだった。


1:ギア対ギア、もしくは対モンスターと言ったカードで行われる娯楽競技。

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