ep1 はじまりは、山奥の村ラハン
ある嵐の夜、山奥の村ラハンに大怪我をしたフェイという男が運び込まれた。
仮面をつけた不気味な男に抱きかかえられたフェイは、うわ言でその男のことを父さんと呼んでいた。
仮面の男はフェイをラハンの村長に預け、いずこかへ消えていった。
それから三年の月日が流れた。
フェイはあの時の怪我が原因か、それ以前の記憶を失っていた。
しかし彼は優しい村長や村人、親友のティモシーとアルルに囲まれ、絵を描いたり子供達に拳法を教えたりしながら穏やかに暮らしていた。
そのアルルとティモシーの結婚式を明日に控えた日、フェイはアルルの弟ダンに呼び出された。
アルルが本当に好きなのはフェイだとダンに聞かされ、フェイは彼女に会いに行った。
アルルは明日身につける花嫁衣装を縫い終わったばかりだった。
それを眺めながら彼女は、フェイがもし生まれた時からこの村にいれば、とつぶやいた。
その言葉を無理やり茶化した彼女は、フェイに山の上で医院を開いているシタン先生から明日使うカメラを借りてきて欲しいと頼んだ。
フェイは複雑な思いを抱えたまま、山道に足を踏み出した。