ep0 序章
宇宙空間を航行する恒星間移民船エルドリッジ。そのブリッジに警報が鳴り響いた。移送中だったデウスシステムが突如再起動したのだ。
デウスに次々とハッキングされるエルドリッジのシステム。乗客は逃げ惑い、オペレーターは危機回避に追われる。
やがて機関室すらも制圧された事を知った艦長は退鑑命令を出す。しかしデウスに火器管制を奪われたエルドリッジの砲は脱出艇を次々と撃墜していった。
艦長はその光景を見てエルドリッジの自爆装置を起動させた。
爆発、分解したエルドリッジはやがて一つの惑星の重力に捕まり、その大気圏に突入した。
無数のエルドリッジの破片が空に流星を描く中、比較的原型をとどめたパーツが海岸で炎を上げている。
その黒煙が潮風で吹き払われたとき、そこにミァン・ハッワーがいた。
彼女はインディゴブルーの長い髪を風に翻しながらゆっくり立ち上がると、無感情に海を見つめた。
そのインディゴブルーの瞳に空に走る流星が映り込んでいた。
それから約一万年の時が流れた……
中心に砂漠が広がるイグニス大陸では、アヴェ王国とキスレブ帝国が数百年にも渡って戦争を続けていた。
長い時間の中で戦う理由も忘れられ、その戦争はただ冗長に続けられていった。
そんな時、二国の関係に重大な変化をもたらす発見があった。
過去の遺跡からギア・アーサー(以下ギア)と呼ばれる高機動ロボットが発見されたのだ。
ギアはそれまでの戦争の戦い方を根底から変える程の重大な発見となった。
アヴェ、キスレブの両国はこぞって遺跡の発掘を行い、続々とこの新兵器を戦力としていった。
遺跡資源の量で勝っていたキスレブは、アヴェの領土を次々と侵攻。
そのままキスレブ側の勝利で戦争が終結するかと思われた。
だが、突如現れた援軍がアヴェに勢いを与えた。
神聖ソラリス帝国帝室特設外務庁(通称、ゲブラー)。
一切が謎に包まれたソラリス帝国からの支援を受けアヴェはキスレブとの兵力差を縮小、反撃に転じ、領土と遺跡資源の奪回を始めた。
物語は激化する遺跡資源であるギアの争奪戦とは無縁の国境付近にある小さな農村、ラハンから始まる……。