ep8 とまどい 砂漠の街ダジル
森を抜けたフェイとシタンは、ヴェルトールの補修パーツを手に入れるために遺跡発掘の拠点となっている街ダジルに向かった。
砂漠の中のダジルについた二人は、早速『教会』(注1)の工房に向かったが、そこにはヴェルトールのような軍用ギアのパーツは置いていなかった。
その事を受け、ヴェルトールにいい感情を持っていないフェイはこのまま放置しようと提案した。
しかしシタンはこのままではいずれキスレブとアヴェの争奪戦が始まり、ラハン村にも被害が及ぶと危惧する。
何とか修理できないだろうかと思案をめぐらせたシタンは砂漠で遺跡を巡る小競り合いがある事に思い至り、スクラップから部品を回収すべくフェイを残してサンドバギーに乗り砂漠に向かった。
一人残ったフェイだったが砂漠に海賊が出る事を知って心配になり、シタン追って徒歩で町を出た。
シタンを探して砂漠を駆けるフェイは巨大な空飛ぶ円盤を目撃。その後を追うように通り過ぎる
アヴェ軍のギアが気になり、彼はバイクを盗んで走り出した。
日も暮れ、ギアも円盤も見失って途方に暮れていたフェイをアヴェのギアが取り囲んだ。
間一髪の所でシタンの操縦するヴェルトールに助けられたフェイだったが、新手に囲まれやむにやまれず操縦を代わって敵ギアを撃退した。
その時、野太い笑い声と共に黒衣を纏った仮面の男が現れた。
「誰だっ! 誰?……そうだ、俺はお前を知っている……お前は…あの人を殺した……
あの人……? いや、殺したのは……」
フェイの脳裏に血を浴びた幼い自分が浮かぶ。やがて幼い彼は光の中でうずくまった。幼い自分は
「違う…僕じゃない…… 殺したのは……」
と、力なく呟いた。
「臆病者……」
突如聞こえた声に幼いフェイが振り向くと、そこに少年のシルエットが立っていた。
「お前だよ」
我に返ったフェイは、その男と共に現れた黒い翼を持つギアがあの夜ラハンに現れたギアだと気づいた。
男はグラーフと名乗り、フェイの力を見るためにラハンの騒動を画策したと語った。
彼は破壊を求めるフェイの本質と父親の最期を仄めかし、「神を滅ぼす」ためにフェイの力を求めた。
しかしいまだ力不足と切り捨て、試練を与えると言いグラーフは去った。
困惑するフェイの前に怪物が現れた。フェイは差し当たって怪物を撃退し、故障したヴェルトールから降りた。
心配するシタンと暗く考え込むフェイをアヴェ軍のギアが取り囲んだ。
二人は抵抗するすべも無く、捕らえられた。
注1:この世界での『教会』とは単なる宗教団体ではなく、過去の歴史を管理統制し、その一環として遺跡資源(ギアなど)を修復する技術を独占している。