ep26 漂流 星空の海にただよえば
ゴリアテが撃墜された後、シタン、リコ、ハマーは潜水艦ユグドラシルに収容された。
船室で目覚めたシタンとリコに声を掛けたのはバルトだった。
「先生とでかいの!やっと目が覚めたみてぇだな。やあ、悪かった。反省してるって。な、許してくれよ」
「俺はリコって名前がある。で、なんでお前が謝ってんだ?」
いきなり謝りだすバルト。現状が理解できていないリコ。事情がわかっていたシタンは説明を始めた。
「つまり、我々はこの艦に撃墜されて同じこの艦に救助された…、って事です」
「??ってことは俺達が乗ってたゴリアテを撃墜したのは…」
「ニブイなぁ…でかいの。俺達がゲットしたこのユグドラシル2世がバケモンみてぇな飛行機をヒットォォ!!うー、スバラし過ぎるぜ!すげぇよな、バルトミサイル。」
「ガァッ〜!!許さねえ!!」
事実を知ったリコはバルトに殴りかかるのであった。
一方その頃、フェイとエリィはゴリアテの残骸に乗って海を漂流していた。その残骸の下にはヴェルトールとヴィエルジェがあったが、隔壁に隔てられ動かすことは出来なかった。
当面の食料を確保しようと魚を追い掛け回していたフェイは、アヴェの砂漠で見た空飛ぶ円盤を再び目撃した。エリィによるとそれがシェバトだという。砂漠に現れたのは特別な目的があったのだろうと。
ユグドラシル。ゴリアテ撃墜の件を謝るため、バルトはまずシタンに会いに行った。そこで彼はこの艦が元々はシェバトの技術によって造られたものであろうと聞かされた。その後ギアハンガーのリコに会いに行くと、リコはブリガンディアとヘイムダルの性能に感じ入っており、今後も行動を共にすると言った。
時は移り夜。漂流しているフェイとエリィは星空を見上げながら語り合っていた。
「俺はダメな奴さ。誰かに必要とされるために今まで行動していた気がする。そうやって癒されている自分がいるんだ。確かにそれはゼロじゃない。けど、1でもないんだよ」
「私、なぜ自分が今ここにいるか考えてみたの。それは多分フェイが、何もしないでいるより何かしている方が良いって言ったから。1じゃなくても良いじゃない。たとえそれがごくわずかでも、何度も繰り返せば1になるでしょ。…そんなに思いつめる事ないと思う。誰もそうやって見返りを求めて何かを分け与えてるのよ。私だってそう。さっきの非常食、おいしくないのに無理して食べてくれたんでしょ? 自分だけ生き残ろうと思ったら、独り占めした方がいいのに。でも、無理して食べてくれるのを見て、分けてあげてよかったなぁって、癒されたもの。それは独善的なものだけど、そうやって分け与える喜びを学んでいけば、いつか自分の大切なものも分け与える事が出来るようになると思うの……」
そう語りながら、エリィは以前もフェイに同じように言ったようなデジャヴを感じていた。