ep25 脱出イグニス めざせ新天地
ep25◆脱出イグニス めざせ新天地
シタンの操縦で海上を行くゴリアテの前に、突如グラーフのギアが立ちはだかった。迎撃に出るフェイ、エリィ、リコ。
グラーフのギアはそのままゴリアテの甲板に取り付き、グラーフがギアから降りてきた。
「ゴリアテはお前のために用意したものではない。お前は今しばらくこの地に留まるのだ。行かせるわけにはゆかぬ」
そう言いながら襲いかかる生身のグラーフにヴェルトール、シューティアが撃破されてしまう。
しかしグラーフは何故かエリィの乗るヴィエルジェを攻撃しなかった。これを機にヴィエルジェが隙を作り、シタンの機転によってグラーフ機を撃墜。一行は事なきを得た。
なぜ自分を攻撃しなかったのか。エリィの疑問を乗せて、ゴリアテは海上を飛び続けた。
ゴリアテ内。フェイはシタンに何だかうまく言えないが、変な気がすると吐露する。
シタンは黒衣の男なら気にしても何も始まらない。第一そういうのはフェイらしくないと諭すが、フェイはそういうことではなく、何か以前にもこのような事があった気がして胸騒ぎがするのだと言う。
実はシタンも妙な既視感を感じていた。
その頃、ゴリアテを狙う謎の潜水艦があった。
「ビンゴ!情報通りだな。キスレブの機体だ。
でかいぞ…機種は…
間違いない!ゴリアテだ!噂の地下工場のやつだ!」
謎の潜水艦の正体はなんとユグドラシルであり、発令所にいたのはバルト。キスレブが報復に打って出たと考えたバルトは、ゴリアテを撃墜すべく巡航ミサイルを発射した。
ミサイルは見事命中。あわてふためくゴリアテ内で、シタンはミサイル発射源の機影に見覚えがある事に気付いた。
「シグルド…もう少し教育方針を考えた方が…。」
そうして制御不能になったゴリアテはユグドラシル目掛けて墜落、見事命中。大爆発を起こした。
ゴリアテには、ゲートキーパーが装備されていた。ソラリス側にしかないはずのその機械は、その作動時に時空震という揺れを発生させる。
ブレイダブリクのラムサスは、自らの空中戦艦内で先に発生した時空震について調査させていた。その結果ゴリアテがその震源である事を突き止め、彼はキスレブの粛清が失敗した事を確信した。
そのラムサスの下に突如グラーフが現れた。彼はゴリアテに乗っていたフェイが転移によりアクヴィにいると伝え、去った。それを聞いたラムサスは目の色を変え、アクヴィへ針路を取った。
その直後、グラーフはミァンと会っていた。小細工は無用と言うグラーフにミァンは答える。
「結果的に枷が外れやすくなったのだから、いいじゃない。それに、"器"は定められた者にしか反応しない。これはあの子達も知らない事なの。でも、カール(ラムサス)に彼は必要ね。カールの存在意義そのものだから。それよりお礼しなくちゃ。助けてくれたんでしょ?私の為?彼の為?それとも、自分自身の為かしら……?」
アクヴィへ向かうラムサス艦に、ドミニアが回収され先んじてアクヴィへ向かった、と報告が入った。
ゴリアテ墜落の場面をスクリーンで見ながら、ガゼルの法院が議論している。
「メモリーキューブの情報だと、"奴"の周囲にはM計画対象者<スファラディー>ではなく、"アニムス"の因子を持つ者たちが集まっているらしい。……"奴"に引き寄せられたか? 図らずも500年前と同じだな」
「転送先はアクヴィ。カレルレンが直々に向かうらしい。ゼボイムの遺産が見つかったのだそうだ」
「遺産……ということは、以前ヤツが話していた技術か?」
そこへ、天帝カインが加わった。
「そうだ。ナノテクノロジー創生の地、ゼボイムの首都が海底下に眠っていたのだ。19年もの間、その存在は『教会』によって隠されていたがな。ところで、お前達……"消すつもり"であったのか?」
疑うカインだが、ガゼルは動じない。
「なに、偶然だよ。それにあの程度で消せるとは思っておらん。粛清も失敗に終わった。今後は無い。"アニムス"が集まっているのならなおさらな」
「しかし、なぜそこまで"奴"にこだわる。"アーネンエルベ"……未だに信じているわけではあるまい」
「あれは幻想だよ。理想ですらない。結果はこの姿。見ての通りだ」
「カイン、我等が"神"なのだ……」